三重の法務労務コンサルタント

仕事(人事労務、海外人事、税務、法務など)で学んだことや、趣味(歴史や旅行など)で感じたことなどを記載します

海外勤務者の役員報酬に対する課税について

 以前、大阪の本町で海外勤務者に関するセミナーの講師をしていた時に、女性の受講者の方から日本の会社の役員が海外の子会社で勤務をした場合の税金の取扱(役員の特例と外国税額控除など)について質問を頂きました。

 講義が終わって、その方が挨拶に来られたので名刺交換をしたのですが、彼女の名刺を見ると岡山県の会社の総務課長で、資格は弁護士と書かれていました。わざわざ講義を受けるために岡山県から来られたということと、弁護士の資格を持っているのに会社に勤めているということに、少し驚きました。

 

 一般的なことを言えば、海外勤務者の給料や賞与などに関する所得については国外で支給されても国内で支給されても、全て国外の勤務地国で課税されることになり、国内では非課税となります。

ただし、役員に関しては次のような特例があります。

1.役員の特例

内国法人の役員としての勤務は、一般使用人の場合とは異なり、内国法人が支払う役員報酬や役員賞与はすべて国内源泉所得に該当することになり、20.42%の源泉徴収の対象としなければならない。

2.役員の特例の例外

 取締役兼ニューヨーク支店長のように、内国法人の役員であるとともに同時にその内国法人の使用人として常時勤務しているような者の給料・賞与については、一般使用人と同様に、国内勤務に基因するものだけが、我が国においては課税対象となる。

3.現地法人の役員の特例

 内国法人の役員が別会社(現地法人)の役員として勤務する場合には、特例の例外は適用されないが、次の要件に該当する場合には適用される。

・ 現地子会社の実態が、内国法人の支店等と異ならないものであること。

・ その役員の現地子会社における勤務が内国法人の命令に基づくものであり、実体的にはその内国法人の使用人としての勤務であると認められること。

 

また、日本と海外とで二重課税が発生した場合には、居住地国で申告をしてその外国税額のうち一定額を居住地国の所得税から差し引くことができるという外国税額控除という制度があります。

 日本の居住者は国内の所得と国外の所得とが二重課税になれば確定申告でこの外国税額控除を受けることができるのですが、海外での居住者がこの外国税額控除を受けられるかどうかは国により異なります。

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