三重の法務労務コンサルタント

仕事(人事労務、海外人事、税務、法務など)で学んだことや、趣味(歴史や旅行など)で感じたことなどを記載します

海外勤務者の税金

海外勤務者の給与課税については、海外での勤務期間が1年以上となるか、1年未満となるかがポイントとなります。海外での勤務が1年未満の場合には、日本の税法で規定する「居住者」となり、日本国内での課税は今までと変わりません。

1年以上の予定で海外で勤務する人は、出国の翌日より日本の税法で規定する「非居住者」となります。当初1年以上の予定で海外勤務者として出国したが、やむを得ず1年以内に帰国した場合にも、海外勤務中は「非居住者」として扱われます。1年未満の予定で海外勤務をしていたが、途中で1年以上の滞在が必要となった場合には、延長が決まった日から「非居住者」となります。

「非居住者」の給与課税については、次のような取り扱いになります。

1.海外勤務者の所得税について

 「非居住者」に該当すると、日本国内で支給される給与には、日本の所得税は課されません。日本で給与をもらっても、海外勤務に対する給与となり、海外の勤務地での課税となります。

ただし、出国後最初に支給される給与については課税される場合があります。この場合、対象となる勤務期間の全てが国内勤務である場合を除いて日本では非課税とされるのですが、全てが国内勤務であった場合には、20%の源泉徴収が必要となります。例えば、給与が20日締めで末日支給の会社で、4月15日に出国した場合、4月度給与の支給日(4月30日)には出国していますので「非居住者」となりますが、勤務期間の全てではなく一部だけ(3月21日~4月15日)が国内勤務ですので4月度の給与では課税されません。4月25日に出国した場合にも4月度給与の支給日には同様に「非居住者」となりますが、勤務期間の全て(3月21日~4月20日)が国内勤務ですので4月度給与で20%の源泉所得税が徴収されることになります。(例えば、4月度給与が50万円の人が4月15日に出国すれば4月給与の所得税は0ですが、4月25日に出国すれば所得税は10万円となります)

 出国後に支給される賞与については、給与とは異なり、賞与の支給対象となる期間のうち国内勤務の分については20%の源泉徴収を行い、海外勤務の分については非課税となります。

(賞与の所得税=(賞与の額×国内勤務日数÷支給対象期間の総日数)×20%)

 なお、出国をした年は、出国のときまでにもらっていた給与について、出国時点で年末調整を行う必要があります。社会保険料や生命保険料についても、出国のときまでに支払った分が控除の対象となります。

2.海外勤務者の住民税について

 住民税は、所得税とは異なり、前年の所得に対する税金の後払いの制度となっており、前年1年間の所得に対する住民税が今年の6月から来年5月までの給与で徴収されています。

 1月1日現在で日本に住所があれば、出国後であっても、前年の所得に対する住民税を翌年5月までは支払うことになります。出国の年の所得に対する住民税は翌年の1月1日には日本に住所がありませんのでかからなくなります。

 年末年始に出国するような場合には、年末に出国するか年始に出国するかで、住民税の負担が大きく異なることになります。例えば、2019年12月31日に出国した場合、2020年1月1日には日本に住所がないので2019年の所得に対する住民税はかからなくなります。2020年1月1日に出国した場合には、2020年1月1日に日本に住所があるので2019年の所得に対する住民税がかかることになります。

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