三重の法務労務コンサルタント

仕事(人事労務、海外人事、税務、法務など)で学んだことや、趣味(歴史や旅行など)で感じたことなどを記載します

クーリングオフ

1.クーリングオフとは

 一定の期間内であれば、消費者が事業者との間で申込みまたは締結した契約を、理由の如何を問わず無条件で撤回・解除することができる制度です。この制度が設けられている趣旨は、消費者が必ずしも本意とはいえない契約を締結しがちであることに配慮して、消費者に法定書面を与え冷静に一定の期間熟慮させることにより、十分納得いく意思決定をさせようというものであり、また、業者には法定書面の交付を義務付け、一定の期間内であれば簡単に契約を解除できることにして、不当な勧誘行為を抑制して消費者を保護しようというものです。

従って、クーリングオフを考えるにあたって、期間もさることながら、業者から受け取った契約書面も重要となります。法定書面としての内容を具備していないならば、クーリングオフは開始しませんから、いつでも解除できることになります。

2.クーリングオフのできる期間(特定商取引法によるもの)

 1)訪問販売、電話勧誘販売 ; 法定書面を受領した日から8日間

 2)特定継続的役務提供   ; 法定書面を受領した日から8日間

 3)連鎖販売取引(マルチ) ; 法定書面を受領した日から20日間

 4)業務提携誘引販売取引  ; 法定書面を受領した日から20日間

 5)通信販売        ; クーリングオフはありません

3.クーリングオフができない場合(特定商取引法によるもの)

1)3千円未満の現金取引

 2)特定商取引法で指定された商品・役務・権利ではない場合

   (自動車は指定商品ですが、クーリングオフはできません)

 3)指定消耗品を使用・消費した場合

   (ただし、クーリングオフができる場合もあります)

 4)事業者間の取引

 * クーリングオフ制度については、特定商取引法以外に、割賦販売法、宅地建物取引業法

保険業法など他の法律によるものもあります。

4.個人事業者の問題

 クーリングオフ制度は、消費者保護を目的としたものであるため、契約者が事業者の場合、特定商取引法が適用されず、クーリングオフをすることができないという問題があります。ただし、個人事業者であっても、その事業と関係にない契約については消費者の立場になるので、クーリングオフ制度の適用があります。

5.クーリングオフの効果

 申込みの撤回の場合は、契約未成立のまま解消し、契約後の契約解除の場合は、最初に戻って当事者に原状回復義務が生じます。すなわち、消費者は支払った金額を返してもらえますし、受け取った商品等は業者の責任で引き取ってもらえます。違約金や損害賠償金についても支払う必要はありません。

6.クーリングオフの行使方法

 「書面」で行わなければならないことになっていますが、内容証明郵便で配達証明付がベストです。

(自分で何月何日に手紙で断ったといっても、それを相手に否定されたときには、自分でそれを証明するのは難しくなりますが、郵便局がそれを証明してくれます)

 書面を発送した日に効果を発します。クーリングオフの期間内に発送していれば、先方に遅れて期限後に到着しても有効となります。

 クーリングオフの実際のやり方が分からない場合は、消費者センターに問い合わせれば、無料で教えてもらえます。

 

* 参考(法令による利息、遅延損害金の制限規定)

特定商取引法第25条(要約)

 クーリングオフ期間経過後、消費者の債務不履行を理由として契約が解除された場合、事業者は商品代金に法定利率年6%の遅延損害金を加算した額を超えて請求できない。

消費者契約法第9条(要約)

 消費者契約に基づき支払うべき消費者の遅延損害金の条項で、年14.6%を越える部分は無効とする。

・利息制限法第1条(利息の最高限)

 金銭を目的とする消費貸借上の利息の利率が次の金額を超えるときは、その超過部分は無効とする。

  元本が10万円未満の場合          年2割

  元本が10万円以上100万円未満の場合   年1割8分

  元本が100万円以上の場合         年1割5分

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