三重の法務労務コンサルタント

仕事(人事労務、海外人事、税務、法務など)で学んだことや、趣味(歴史や旅行など)で感じたことなどを記載します

育ての心理学

  叱る育て方と褒める育て方

 上司や、先輩といった、リーダシップの立場になると、部下や、後輩などを、育てるという仕事がでてくると思います。

 それは、上司や、先輩といった立場的なものから、“育てる”ということをする場合もあると思いますし、部下や、後輩のことを思っての、親心的なことから、“育てる”ということをする場合もあると思います。

 どちらにしても、人を育てるということは、大変な労力がいることだと思います。

 上司や、先輩といった立場だけでなく、子供をお持ちの親御さんも、子供を“育てる”というお仕事をお持ちになりますね。

 リーダシップの立場もしくは、親の立場になると、“育てる”という作業がでてくるわけですから、一生のうちに誰かを育てるプロセスを経験する方は、多いと思います。

 人を育てる立場になると、“叱って育てる”“褒めて育てる”という言葉を聞くことがあると思います。

 この2つの育て方を心理的な見方で、見ていきたいと思います。

  •  叱って育てる

 叱って育てるやり方は、心理的にみると、恐れという感情を使った育て方という見方ができます。

 私たちは、怒られることは嫌ですので、怒られない為にきっちりしようとします。

 きっちりすることの動機が、怒られることの恐れだったりすると、恐れが動機で行動を正そうとすることになります。

 恐れが動機で、行動を正そうとした場合、行動に緊張感が伴いますので、瞬発力があります。

 しかし、緊張状態は、そう長く続かないので、逆に持久力が続かないのです。

 例えば、大事な書類に不備があり、社長から「明日までに、この書類をしあげなければ君はクビだ!」と言われれば、クビがかかっていますから、徹夜をしてでも仕上げようと思いますよね。

 想像してみてもらいたいのですが、その時の緊張感、集中力、瞬発力って凄いと思いません?

 そして、なんとか書類を仕上げることができたとします。ホッとできますよね。

 でも、ホッとしてしまうと、あの時の緊張感、集中力、瞬発力って、どっかに吹っ飛んでいく気がしませんか?

 そうなんです、瞬発力はあるのですが、持久力は続かないんです。

 まるで、恐い先生に睨まれてる時は、怒られないように、まじめに勉強するんですが、先生がいない自習の時は、その開放感から、隣の友達とお喋りをして、自習どころでは無くなってしまう感じのように、緊張感は解きはなたれてしまうのです。

 叱って育てる方やり方は、言った事の効果に関して、即効性がありますが、持続効果が望みにくくなるのが特徴です。

  •  褒めて育てる

 褒めて育てるやり方は、恐れを使うのではなく、その人の価値を見つけてあげる育て方です。

 価値を見つけてもらえる、認められる、期待されることで、認めてくれる喜びで頑張る力がわいたり、期待に答えようと頑張ったりします。

 こちらのやり方は、恐れを使っていないので、お尻に火がつくことはなく、瞬発力はありません。

 瞬発力がありませんので、すぐに行動を正そうという行為に移りにくいということはありますが、その代わり、こんどは持久力があります。

 緊張状態というものが付きまとわないので、瞬発力がなく、ゆっくりとした成長の仕方ですが、恐れに追いかけられて、なにかをしようとするのではなく、誰かに教えてもらったことや(教育)、自らの経験を通して、学び、そして、それをすることを選択して成長していくので、持続力(継続力)があります。

 その為、一度行動を正そうとしたら、その行動は継続していくことが多いのです。

 先ほどの例えを使うと、書類の不備があった時に、社長に「今回は書類のミスがあったけど、頑張り屋の君のことだから、このようなミスは無くしていけると信じてるよ。頑張ってくれたまえ」と言われたとします。

 そうすると、叱られた時のような、緊張感、集中力、瞬発力は、無いかもしれませんが、期待に答えようと、その人なりのペースで頑張ると思いませんか?

 恐れから追われていることはないので、社長の期待に答えようと自らが選択した時、その頑張る力は継続しやすくなります。

 アメリカの心理学者ローゼンタールらがある実験をしました。

 まず、小学生に普通の知能テストをさせ、その結果を担任の教師に、これから学力が伸びる可能性のある子の名前を教えました。

 しかし、そこで教えられた数人の生徒は知能テストの成績に関係なく、ランダムに選ばれた子でした。1年ほどした後で、再び知能テストをしたところ、名前をあげられた子は、そうでない子に比べて成績が上がっていました。

 このように、期待することによって、相手もその期待にこたえるようになる、という現象をピグマリオン効果とよんでいます。

 このような効果が起こる理由として、ローゼンタールは、人は常に相手の期待に対し最も敏感に反応するから、と説明しています。

 皆さんの経験上、人は期待されると、その期待に答えようとする感覚は、なんとなくお分かりになると思います。

 人は、認められる、褒められる、期待される、と嬉しくなりますね。

 逆に、否定される、怒られる、期待されない、というのは嫌気がさします。

 これだけを見ても、モチベーションの出方の違いはなんとなくわかると思います。

 

 

 

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