三重の法務労務コンサルタント

仕事(人事労務、海外人事、税務、法務など)で学んだことや、趣味(歴史や旅行など)で感じたことなどを記載します

パワハラと労災認定

○ パワハラでのうつ病労災認定へ!

 精神疾患や自殺に関する労災認定の判断基準が見直され、職場でのいじめや嫌がらせ(ハラスメント)によるストレスも、労災認定判断の査定項目に加えられることになりました。

 今後、パワハラによるストレスでうつ病などの精神疾患になった人は、労災と認められる可能性が増えます。

 また、パワハラを苦にして自殺した職員への労災が認められる判決があり、職場のパワハラ・いじめ対策への関心が高まりましたが、ハラスメントの項目が労災認定の判断基準に正式に追加されたことにより、パワハラ・いじめ対策の必要性はますます高まることが予想されます。

○ パワハラって何?

 では、パワハラとはいったいどんな言動なのでしょう。「パワーハラスメント」という言葉を初めて提唱した岡田康子さんは、著書『上司と部下の深いみぞ』(紀伊国屋書店)の中で次のように定義しています。

  1. 職権などのパワーを背景にして
  2. 本来の業務の範疇を超えて
  3. 継続的に
  4. 人格と尊厳を傷つける言動を行い
  5. 就労者の働く環境を悪化させる、あるいは雇用不安を与えること

 また、岡田さんは同書でパワハラを4つのタイプに分類しています。とても分かりやすい分類なので、被害を知るのに参考になります。

1)攻撃型

・他の社員たちの前で怒鳴る

・1人だけ呼び出して怒鳴る

・机や壁などを叩いて脅す

・ねちねちと嫌味を言う

・肉体的暴力を振るう など

2)否定型

・仕事をすべて否定する

・人格を否定する

・能力を低く評価する

・病人扱いをするなど

3)強要型

・自分のやり方を無理やり押し付ける

・責任をなすりつける

サービス残業を強要するなど

4)妨害型

・仕事を与えない

・必要なものや情報を与えない

・辞めさせると脅す

・休ませない など

 一口にパワハラといっても、直接的な暴力や暴言で傷つけるものから、無視したり、仕事を与えないことで精神的な苦痛に追い込むものまで、さまざまな種類があります。一見パワハラには思えなくても、仕事の人間関係の中で、理不尽な苦痛に追い込まれているときには、パワハラの可能性を疑ってみるといいでしょう。

○ パワハラの悩みは1人で抱えない

 人の尊厳を踏みにじるようなひどい言葉をかけられたり無視されたりすると、気の弱い人は「自分は価値のない存在であり、周りに迷惑をかけている」と思わされてしまいます。そして、その思いを誰にも相談できず、1人で悶々と悩み、憂鬱を深めて精神疾患にまで展開させてしまうことがあるのです。

 だからこそ、職場で理不尽な言動を受けて強いストレスを感じたら、周りの信頼できる人に相談することが大事です。社内の相談窓口、労働組合、全国の労働局の総合労働相談コーナー、地域の男女共同参画センターなどが代表的な窓口です。

○ パワハラ加害者になる前に覚えるべき3カ条

 パワハラ的言動は、自分の言動を振り返り、反省できない人に多いものです。ある日突然、「私がこうなったのはあなたのパワハラのせいだ!」と追及されないためにも、以下の3つのポイントを覚えておくことをお勧めします。

1)毒舌は百害あって一利なし

 きつい一言を「また毒舌を言ってるな」と聞き流せる人もいれば、真に受けて自分を責めてしまう人もいるのです。したがって、部下だけでなくどんな相手に対しても、「言葉一つで、相手と自分に一生の傷を負わせることもある」という認識を持って、他人と接するように心がけるべきです。

 「傷つける言葉を発すると快感を感じる」「自分が面と向かって同じようなことを言われるのは許せない」ということに心当たりがあれば、すぐにでも言葉遣いに注意すべきです。

 まずは、「きつい言い回しや、部下を馬鹿にする発言をしない」と決意するだけでも、本格的なパワハラへのエスカレートを防ぐ効果はあります。

2)相手の地位によって、態度が変わりすぎていないか

 自分より立場が上の人には必要以上にへりくだるのに、下の人の前では傍若無人に振る舞うような場合、パワハラ上司になりやすい素地があります。

 たとえば、上司の前では大人しいのに、部下の前では怒鳴ったり一方的に話したりする。上司が側を通ると深々と挨拶するのに、部下からの挨拶は無視する。

 このように、立場によって態度がガラリと変わってしまうのは、「自分にとってメリットのある人以外は、粗雑に扱ってもいい」という思いがあるせいではないでしょうか。このような身勝手さが、パワハラ的言動を生むのです。

他人同士がチームとなって働く以上、立場を超えて人間同士の信頼を高めあう努力をする必要があります。

3)自己満足のために部下を利用していないか

 たとえば、私用のために部下を使いに行かせるようなことがあったり、自己満足のために部下を利用することがありませんか?

 また、気に入っている部下とは雰囲気よく話せるのに、そうでない部下は無視したり仲間外れにしていないか。自分の意見を否定するような発言は認めないとプレッシャーをかけていないか、ということも振り返ってみましょう。

 もし、自己満足のために部下を利用し、その反応によって部下を不公平に扱っていれば、「パワハラ上司」と捉えられる可能性が高いと考えられます。

 部下に何かを求めるときには、少し間をおいて「自分は今、自己満足のために要求しようとしてないか?」と考えることを習慣にしてみましょう。

 

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