三重の法務労務コンサルタント

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コンプライアンス違反の罰則について

 コンプライアンスに違反すると、罰則が科されることがあります。罰則には、正式な罰と、そうでない罰とがあります。

 

 正式な罰とは、刑法に定めがある罰をいいます。死刑、懲役、禁錮、罰金、拘留、科料がそれで、刑の軽重の順序も重い順にその順序となっています。(刑法第9条 刑の種類、 第10条 刑の軽重)

 懲役と禁錮には、無期と有期とがあり、有期の場合は原則として1月以上20年以下となっています。(第12条、第13条)

 懲役と禁錮の違いは、刑務作業があるかないかです。懲役には刑務作業がありますが、禁錮には刑務作業がありません。刑務作業がない分、禁錮の方が軽い罪とされていますが、じっとしているのはつらいようで、多くの受刑者が、結局は志願して作業を行うのだそうです。

 拘留は、期間の短い(1日以上30日未満)禁錮のようなものです。(第16条)

 罰金と科料の違いは、科される金額の違いで、1万円以上が罰金で、千円以上1万円未満が科料です。(第15条、第17条)

 刑法では、罰金額の下限を設けていますが、上限については設けていないため、個々の法律の規定で罰金額の上限を定めています。法律によっては、独占禁止法のように「5億円以下の罰金」などと、非常に高額の罰金が定められていることもあります。

 具体的に科される罰則は、法令で定められた範囲内において裁判所により決められます。例えば、「第○条の規定に違反した者は、30万円以下の罰金に処する」とあれば、1万円以上30万円以下の範囲で、判決で罰金が決められるわけです。

 罰金を支払えない場合には、労役場に留置され、判決で決められた1日あたりの金額が罰金の額に達するまでの日数分、そこで作業をします。労役場留置の期間は、1日以上2年以下となっています。(第18条)

 

 正式でない罰の例としては行政上の手続違反の際に科される過料や交通違反の際に科される反則金などがあります。これらは、通常の裁判を経ないで科される軽いペナルティー金のようなものです。

 罰金は刑事罰であり前科(判決で刑の言い渡しを受けることで犯罪者名簿に記録される)となる刑罰であるのに対し、過料や反則金は行政罰であり前科にはなりません。

 ただし、交通違反反則金などを指定された期日までに納付しない場合には、通常の刑事事件として刑事処分の対象となり、簡易裁判所での略式命令で罰金が科されることになります。

 

 

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