三重の法務労務コンサルタント

仕事(人事労務、海外人事、税務、法務など)で学んだことや、趣味(歴史や旅行など)で感じたことなどを記載します

労働条件の明示について

以前、労働条件の明示に関連する質問を受けたことがありました。

 1件は、日本で採用され海外勤務をされている方から、入社したときに給与等の労働条件を口頭でしか聞かされていなかったが、翌年の4月から突然に説明もなく日本での月額数万円の手当を廃止され、日本の本社に説明を求めてもなかなか回答をしてもらえないが、どうしたらいいのでしょうかという質問でした。

 もう1件は、会社の総務の仕事をされている方から従業員を採用したときに渡す労働条件の通知書は会社に保管義務があるのでしょうかという質問でした。

 法律(労基法第15条、施行規則第5条)で、従業員を採用する場合には、賃金、労働時間等の労働条件を書面で明示しなければならないことになっています。

 この明示義務に違反した場合には、30万円以下の罰金を課せられることになっています。

 また、手当の廃止は、労働条件の不利益変更になりますので、会社が一方的に行ってよいというものではなく、合理的な理由と従業員の同意が必要とされています。

 質問の1の場合は、明らかに労基法違反ですから、監督署に相談すれば、監督官が会社に対して是正勧告を出してくれると思いますが、会社との間に感情的なしこりが残ると思いますので、まず、会社に対し、「監督署への相談も考えている」というようなことも言って、暗に脅しをかけながら表面的には穏やかに会社との話し合いで解決した方がしこりが残らないので、後も勤務しやすいと思います。

 質問の2の場合は、労働条件の明示は従業員に対し文書で一方的に明示すれば法律上は有効で、会社に保管義務はありませんが、後で、従業員からそんなものはもらっていないといわれたら困りますので、できれば2通作って、1通に受領印をもらって保管しておく方が安心です。

 ただし、実務では、多くの会社は労働条件通知書ではなく雇用契約書を2通作って、会社と従業員が1通ずつ保管するという方法をとっています。

 

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