三重の法務労務コンサルタント

仕事(人事労務、海外人事、税務、法務など)で学んだことや、趣味(歴史や旅行など)で感じたことなどを記載します

男女共同参画社会について

 女性の社会進出を推し進めるために、1999年に「男女共同参画社会基本法」が制定・施行されました。

 この法律で、男女共同参画社会とは、「男女が、社会の対等な構成員として、自らの意思によって社会のあらゆる分野における活動に参画する機会が確保され、もって男女が均等に政治的、経済的、社会的及び文化的利益を享受することができ、かつ、共に責任を担うべき社会」と定義されています。また、男女共同参画社会を実現するために、次のような理念を掲げています。

  • 男女の人権の尊重

 男女の個人としての尊厳を重んじ、男女の差別をなくし、男性も女性も1人の人間として能力を発揮できる機会を確保する。

  • 社会における制度又は慣行についての配慮

 性別による固定的な役割分担意識にとらわれず、男女が様々な活動ができるように社会の制度や慣行のあり方を考える。

  • 政策等の立案及び決定への共同参画

  男女が社会の対等な構成員として、あらゆる分野において方針の決定に参画できる機会を確保する。

  • 家庭生活における活動と他の活動の両立

  家族を構成する男女が、相互の協力と社会の支援の下に、家庭生活における役割を果たしながら、仕事や地域活動などができるようにする。

 

 この法律が施行されてからすでに23年経ちましたが、いまだに充分な成果を達成できているとはいえないのが現実です。例えば、厚生労働省の統計調査(2021年)で女性管理職の比率を役職別にみると、課長相当職は12.4%、部長相当職は7.7%といずれも低い水準にとどまっています。海外の統計を見ると、女性管理職の比率は、フィリッピンは48.9%、米国43.8%、フランス32.9%、イギリス36.0%で、日本の女性管理職の比率が非常に低いことが分かります。また、日本の国会議員の女性比率は10.2%で、世界193カ国の中で165位です。日本の専業主婦の比率は38%ですが、スウェーデンは2%で、ほとんど専業主婦のいない国です。また、日本の男性の育児休業取得率は14%ですが、スウェーデンの男性の育児休業取得率は88%です。

 日本人の半分は女性であり、学生時代に男女間で特に大きな能力差があるわけではないので、社会生活に入っても半分は、特別な事情があるとしても30%ぐらいは女性が指導的な役割を果たすのが自然な姿だろうと思うのですが、日本の現状はまだ男性優位社会の状況にあるようです。

 その要因として、男女の役割分担意識があげられます。内閣府の調査によると、日本では国民の約半数が「男は仕事、女は家庭」の考えに賛同しています。欧米諸国でも以前はこの役割分担意識が強かったのですが、国により異なりますが今では5~20%と激減しています。個別具体的な役割分担の実施状況をみると、食事の支度については、日本では妻が89.7%・夫が1.4%・家族全員が6.0%であるのに対し、スウェーデンではそれぞれ49.5%・14.8%・34.2%、イギリスではそれぞれ52.6%・14.6%・29.9%となっています。

 男女共同参画社会基本法では、国や地方公共団体男女共同参画社会づくりのための計画を策定し施策に取り組むことになっています。しかし、都議会で複数の議員からこの法律の理念に逆行するようなセクハラやじがあり、他の議員もそれに拍手をしたり、都知事も含めた他の議員からも笑い声が聞こえたと言われているのですが、発言をした議員1人が陳謝しただけで、他の議員や都議会自体は反省したり陳謝したりするつもりはないようです。都議会と同じような状況は国会や他の地方議会でもあるようですので、まず議員自体の教育・意識改革が必要なように思いました。

 また、国会も国の制度を見直すべきだろうと思います。

 例えば、皇室典範で、「皇位は男子が承継する」となっていますが、日本は昔から女帝が何人も存在していた国であり、かつ、今は男女同権の時代なのにこれはおかしいのではないかと思います。

 また、民法の規定で、結婚に際して男性又は女性のいずれか一方が必ず氏を改めなければなりません。そして、現実には男性の氏を選び、女性が氏を改める例が圧倒的多数です。男女が対等なパートナーとして互いの個性を尊重するという基本法の趣旨からいえば、民法の夫婦同氏制度も改めて選択的夫婦別姓制度を認めるべきだろうと思います。

 育児休業制度も子が満1歳になるまで夫婦どちらでも取得できるのですが、現実には女性しか取得していないので、この制度も例えば男性が少なくとも60日以上育児休業を取得しなければ女性の育児休業も認めないように改めるなど、家事や子育ては女性だけの役割ではなく、男性と女性の共同の役割だと、特に男性の意識を変えていくようにしなければならないように思います。

 確実に男女平等の社会を作り、家事や子育てが女性に偏らず男性がかかわれるように、職場や社会の意識を変え、労働条件などの職場環境や地域環境も整えていかなければならないように思います。

 

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