三重の法務労務コンサルタント

仕事(人事労務、海外人事、税務、法務など)で学んだことや、趣味(歴史や旅行など)で感じたことなどを記載します

中国の労働契約書(サンプル)

2006年、中国で現地法人を設立した時に作成したものです。

 

中国の労働契約書

契約の双方

 雇用者  :                    有限公司  (以下、「甲」という)

 被雇用者 :                 (以下、「乙」という)

 

 雇用関係を確立し、双方の権利と義務を明確にするために、「中華人民共和国労働法」および国家と省・市の関係規定に基づいて、双方の協議および同意を経て、本契約を締結する。

一、雇用契約期限

(一)本契約の期限は、   年 月 日より、   年 月 日までとする。

(二)試用期間は、     年 月 日より、   年 月 日までとする。

二、業務内容

 甲は必要に応じて乙を     業務に従事させる。甲は、業務需要に基づき、乙の配属を代える事ができ、乙はそれに従わなければならない。乙は職責を担当する能力を有し、職業技能を向上させ、生産任務を全うしなければならない。

三、労働保護および労働条件

 甲は国家の規定に合致する労働場所、設備、施設および防護用品を提供し、乙の安全と健康を保証しなければならない。

四、労働報酬

 甲は国家の勤務時間に関する規定を厳格に実行しなければならない。乙は勤務時間中に、甲が手配する生産任務を質量ともに保証して全うしなければならない。甲は貨幣によって毎月○○日に下記の形式および基準に従って乙に労働報酬を支給する。

 乙の試用期間の月間給与は○○○元とする。試用期間満了後は、乙の職務を評定し、月間給与を確定する。

 甲が乙に支給する月間給与は、市政府が定める最低給与基準を下回ってはならず、また上前をはねたり、理由なく支給を滞らせたりしてはならない。甲が勤務時間を延長したり、休日や祝日に時間外勤務をさせたりした場合、規定に従って給与を支給しなければならない。

五、労働保険

 甲は規定に従って乙のために各種社会保険料を納めなければならない。乙が病気または公傷外の負傷によって、勤務停止治療休息期間にある場合、甲は医療期間の規定を実行する。

六、労働規律

 乙は甲の生産経営面における指揮および管理に従い、工場の規律等各規則制度および職業道徳を遵守し、安全衛生操作規則を実行しなければならない。

七、雇用契約の変更、継続、終結

 甲乙双方が協議を経て同意した場合は、雇用契約の関係内容を変更することができる。雇用契約の期限が満了したり、または雇用契約終結条件が出現したりした場合、雇用契約は直ちに終結する。双方が協議を経て同意した場合は、継続することができる。

八、雇用契約の解除

(一)甲乙双方の意見が協議を経て一致した場合、雇用契約を解除することができる。乙が雇用契約を解除する場合は、30日前までに書面で甲に通知しなければならない。

(二)乙に下記の状況のいずれかがある場合、甲は雇用契約を解除することができる。

1、試用期間中に、採用条件に合致しないことが証明された場合。

2、労働規律または甲の規則制度に著しく違反した場合。

3、重大な職務上の過失、私利を図るための不正行為があり、甲の利益に重大な損害をもたらした場合。

4、法に照らして刑事的責任を追及された場合、または労働矯正となった場合。

(三)下記の状況のいずれかがある場合、甲は雇用契約を解除することができる。但し、30日前までに書面で乙に通知しなければならない。

1、乙が病気または公傷外の負傷によって、医療期間満了後、もとの業務に復帰することができず、雇用機関が別途手配した業務にも従事することができない場合。

2、乙が業務を担当する能力を持たず、研修または職場の調整を行っても、任に堪えない場合。

3、雇用契約締結時に依拠した客観的状況に重大な変化が生じ、原雇用契約を履行することができなくなり、当事者双方が協議を行っても、雇用契約について合意に達することができない場合。

(四)甲が破産に瀕し、法定更正期間にある場合、または人員削減条件に合致し、規定に従って人員を削減する場合、雇用契約を解除することができる。

(五)乙に下記の状況のいずれかがある場合、甲は本契約第8条(三)および(四)項の規定に従って、雇用契約を解除したり、終結させたりしてはならない。

1、職業病に罹患したり、公傷を負ったりするとともに、労働能力を喪失するか、または部分的に喪失したと確認された場合。

2、女子従業員が、妊娠期間、出産期間、授乳期間内にある場合。

3、病気または公傷外の負傷によって、定められた医療期間内にある場合。

(六)下記の状況のいずれかがある場合、乙は随時甲に通知して雇用契約を解除することができる。

1、試用期間内。

2、甲が暴力や威嚇、または不法に人身の自由を制限する手段によって、労働を強要した場合。

3、甲が本契約の取り決めに従って労働報酬を支給しなかったり、労働条件を提供しなかったりした場合。

九、経済的補償

 甲は本契約第8条(一)、(三)、(四)項の規定に従って雇用契約を解除する場合、規定に従って乙に経済的補償金を支給しなければならない。乙が病気または公傷外の負傷によって、身体障害等級基準に合致すると判定され、雇用契約を解除・破棄された場合、甲は規定に従って医療補助金を支給しなければならない。

十、雇用契約違反責任

(一)甲が本契約に定める条件に違反して雇用契約を解除し、乙に経済的損失をもたらした場合は、乙の損失金を賠償しなければならない。

(二)、乙が本契約に定める条件に違反して雇用契約を解除し、甲に経済的損失をもたらした場合は、甲の損失金を賠償しなければならない。

十一、その他の事項

(一)次に掲げる甲の営業秘密に関して、乙は、在職中であると退職後であるとを問わず、一切、他に漏洩してはならない。

1、製法、工程管理の方法、その他のノウハウなど、製造技術に関する一切の秘密事項。

2、顧客名簿、顧客との取引状況など、顧客に関する一切の秘密事項。

3、販売価格、仕入れ価格など、販売仕入れに関する一切の秘密事項。

4、会社の業務遂行マニュアル、人事及び経理など、会社組織に関する一切の秘密事項。

(二)乙は、甲を離職した後2年内は甲と競合関係にある他社での同様職務に従事してはならない。

(三)もし、(一)に記した秘密の漏洩により乙が甲に経済的な損害を与えた場合は、甲は乙に対して、その損害賠償を請求する権利を有し、乙は甲にその損害を賠償しなければならない。

(四)甲の定める就業規則は、本契約と同等の法律的拘束力を持つ。

十二、本契約は法に照らして締結され、即時に法的拘束力を生じる。双方はこれを履行しなければならない。

十三、甲乙双方が本契約を履行することによって紛争が生じた場合は、いずれの一方も甲の労働紛争調停委員会に調停を申請する権利を有する。調停が不調となり、いずれか一方が仲裁を要求する場合は、労働紛争仲裁委員会に仲裁を申請することができる。仲裁採決に不服の場合は、人民裁判所に提訴することができる。

十四、本契約に定めなき事項は、国家の法律・法規および省・市の関連規定に従って処理する。

十五、本契約は1式2部とし、労働行政部門の審査・確認後、甲乙双方が各自1部を保有する。

 

                       年 月 日

甲 :             有限公司

                総経理   

 

乙 :

 

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 大連国際空港

 

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中国労働法と日本労働法との違い

 以下の内容は、2006年に中国現地法人を設立するときに調査し、2007年3月1日にヤフーのブログに載せていたものですが、ヤフーがブログを廃止したので、このブログ(はてなブログ)に再度登録します。

 2006年時点での内容ですので、現在は少し変わっているかも分かりません。

 

中国の労働法

 中国では、1995年1月1日から中華人民共和国労働法が施行されており、基本的には日本の労働法(正確には、日本には労働法という名称の法律はないので、労働基準法労働関係調整法労働組合法などのことです)とあまり変わらないようですが、下記のような相違点もあります。また、日本では法制度の内容は全国どこでもほぼ同一ですが、中国では省が国のようなもので、法制度が地域ごとに異なるのも中国の特徴です。

1.労働時間の基準

  日本の労働基準法とほぼ同じ内容で、労働時間は1日8時間以内、週平均44時間以内(現実には多くの地域で条例などにより週40時間以内)、休日は週1日以上、1年以上勤務した労働者には年次休暇を与える(現実にはまだ実施されていない地域が多い)となっています。

 第36条 国家は労働者の1日の労働時間が8時間を越えず、週平均労働時間が44時間を越えない労働時間制度を実施する。

 第38条 使用者は労働者に毎週少なくとも1日の休日を保障しなければならない。

 第45条 国家は年次休暇制度を実施する。連続して1年以上勤務した労働者は年次有給休暇をとることができる。具体的な規則は国務院が制定する。

2.試用期間の具体的規定

  日本の労働基準法では、試用期間を直接的には規定していませんが、中国の労働法では、直接規定しています。

 第21条 労働契約には試用期間を定めることができる。試用期間は最長6ヶ月を超えてはならない。

 実際には、地区ごとに条例などで細かく規定されているようです。

 例)上海市労働契約条例 第13条

   労働契約では、試用期間を約定することができる。

   労働契約が6ヶ月に満たない場合は試用期間を設けてはならない。

   労働契約が6ヶ月以上で1年に満たない場合、試用期間は最長1ヶ月を超えてはならない。

   労働契約が満1年以上で3年に満たない場合、試用期間は最長3ヶ月を超えてはならない。

   労働契約が満3年以上の場合、試用期間は最長6ヶ月を超えてはならない。

3.労働契約の期間

 日本では期間を定めない労働契約(正社員)が原則ですが、中国では期間の定めがある労働契約が原則です。同じ使用者のもとで10年間勤務した場合には期間の定めのない契約への転化を求めることができるとなっています。

 第20条 労働契約の期間は、期間の定めのあるもの、期間の定めのないもの、一定業務完成期間のものに分けられるものとする。

 労働者が同一の使用者のもとで勤続満10年以上に達し、かつ当事者双方が契約の延長に同意した場合に、労働者が期間の定めのない労働契約を締結することを提示した場合には、期間の定めのない労働契約を締結しなければならない。

4.時間外労働時間数の規定

  日本の労働基準法では、時間は定められていません(通達による限度時間はあります)が、中国の労働法は具体的に時間を定めています。

 第41条 使用者は、生産経営の必要により、労働組合及び労働者と協議した上で、労働時間を延長することができる。この場合、通常1日1時間を越えてはならない。特殊な理由により労働時間を延長する必要がある場合には、労働者の健康を保障する条件の下で、1日3時間を越えない範囲で延長することができる。但し、1ヶ月当たり36時間を越えてはならない。

5.時間外労働、休日労働の割増賃金額

 日本の法律では、時間外割増25%以上、休日割増35%以上となっていますが、中国の時間外手当等は、日本に比べて非常に高くなっています。(3)の法定休暇日とは、元旦、春節メーデー国慶節など法律で定めた休暇・祭日のことです。

 第44条 下記のいずれかに該当する場合には、使用者は下記の支払基準に従い、労働者の通常の時間給を上回る報酬を支給しなければならない。

 (1)労働者に勤務時間を延長させる場合、賃金の150%を下らない報酬を支給する。

 (2)休日に勤務させ、代休を与えることができなかった場合、賃金報酬の200%を下らない報酬を支給する。

 (3)法定休暇日に労働者を勤務させた場合、賃金の300%を下回らない報酬を支給する。

6.秘密保持契約の規定

  日本の労働基準法には秘密保持契約についての規定はありませんが、中国では転職に違和感がないので、労働法に、使用者は労働者に対して秘密保持契約を定めることができるという規定があります。中国では、法律にこうした規定がある以上、きちんと契約に盛り込まないと、労働者の秘密保持義務を追及できなくなります。

  中国の労働者の意識は日本人よりも欧米人に近いようで、個人主義的で企業への忠誠心は低く、権利意識が強いという意識の違いがあるようですので、秘密保持契約もしっかりと結ばないといけませんし、労働契約には試用期間、職責・職務などを明瞭に記載しなければなりません。

 第22条 労働契約の当事者は、労働契約の中に、使用者の業務上の秘密の保護に関する事項を約定することができる。

7.社会保険制度

  すべての企業と労働者は社会保険に加入し、労働契約には必ず法定の社会保険及び福利厚生事項を明記しなければなりません。法定の社会保険には、養老保険医療保険労災保険、失業保険(農民戸籍者は免除)、出産保険、(地区により住宅積立金)があり、保険料は日本よりずっと高く会社負担分は給料の約50%にもなります。

 第73条 労働者は、下記のいずれかに該当するときは法に従い社会保険の給付を受ける。

   (1)定年退職

   (2)疾病、負傷

   (3)業務上の負傷、障害又は職業性疾病

   (4)失業

   (5)出産

8.出産休暇

  日本の労働基準法では、出産休暇は産前42日・産後56日となっていますが、中国の労働法では、出産休暇は90日以上となっています。難産の場合は15日、高齢出産の場合は44日加算するなど各地で補充規定が設けられています。

 第62条 女性労働者は、出産に当たり少なくとも90日の休暇をとることができる。

 

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 大連市開発区五彩城

 

 

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中国・大連への出張

15年ほど前に、大連に現地子会社を設立するために出張した時のことを、英作文の練習のために英語で書いてみました。

About 15 years ago, the company I worked for decided to make a factory in Dalian, China, so I traveled to Dalian about 5 times.

Each business trip took about a week, and the flight time from Kanku is about 2 hours one way, but unfortunately I mostly worked in Dalian and did not do much sightseeing.

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 大連国際空港

When you get off the aircraft and come out to the arrival lobby, you will see uncles calling you while saying “taxi”. They were not regular taxis, they were so-called white taku, and you avoided most of them because they often cost more than double the regular price.

There is a regular taxi stand when you leave the terminal. If the destination is close (within 3 km), the first fare was 8 yuan.

The driver negotiates the price if he thinks that the customer is a Japanese .

The airport and the hotel I am staying are about 20 km away, and it takes about 40 minutes by taxi, and the regular taxi price is about 60 yuan.

But even a regular driver charged 80 to 100 yuan each time.

(1yuan(元)は約15円です)

The hotel I was staying in and the factory under construction were in the development area of Dalian.

The development zone is located about 20km northeast of the international airport.

The population of the development zone was about 300,000.

There were about 500 Japanese companies, and about 2,000 Japanese expatriates in the development zone.

In the middle of the intersection of a large road there was a circular platform, and there was a police officer on it, monitoring cars and pedestrians.

However, most of the local pedestrians crossed the pedestrian crossing even if the traffic lights were red.

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 経済技術開発区

I stayed at the same hotel every time, and the place was in the center of the development zone.

During the first half of the business trip, the company was still under construction, so I sometimes worked in a hotel room during the day.

Before going to bed at night, I sometimes asked the hotel reception for a massage. A young woman came to the hotel room and gave a massage. The full body massage fee was 100 yuan for 1 hour, and the foot massage fee was 50 yuan for 30 minutes.

Near the hotel, there were shopping street centering around about 400 restaurants called Gosaijo, which is the downtown area representing the development zone, and there were many Japanese restaurants, so I often went to eat dinner there. There were many people like Japanese expatriates among customers.

There was a restaurant that played a erhu and a biwa live for about an hour at dinner, so I sometimes went there for eating dinner.

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 レストランで二胡と琵琶を演奏

Before the factory was established, we interviewed about 100 applicants locally and hired about 50 employees at the time of establishment.

There were many young people who wanted to find a job in a foreign company, and they were studying either English or Japanese.

Since our company is a Japanese company, most of the applicants were young people who were studying Japanese, and they had qualified of the Japanese language examination.

At that time, the minimum wage in China was about 800 yuan per month, but because it was an amazing educational society, it was said that if the educational background increased by one, the salary would double.

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 工業団地の運動会

Since the establishment of the Dalian factory in China was successful, two years later, a factory was established in Wuxi City, China, and in Foshan City, China.

At that time, there were factories in Cebu, Philippines, Athens, Georgia, and Memphis, Tennessee.

So I sometimes went on business trips to the Philippines and America.

Especially, when establishing the Cebu factory in Philippine, I went to the Cebu about 5 times on the business trip and worked for hiring about 100 employees, just like when the factory was established in Dalian.

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 セブ工場の設立10周年記念パーティー

 (鳩を放しているところ)

 



 

 

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海外勤務経験者の海外年金請求

 日本の会社から海外の会社に派遣されて勤務する場合、通常、日本と海外の両方の会社から給与を支給されており、従来は日本の年金と海外の年金の両方に加入して保険料を支払わなければならなかったのですが、海外での勤務期間が短いと海外での年金受給権の最低の加入期間を満たさないので、海外での保険料は掛け捨てになっていました。ただし、ほとんどの場合、海外での年金の保険料は海外勤務者本人が負担するのではなく、会社が全額負担していました。

 主に、この保険料の二重払いを防ぐために、海外と社会保障協定を結び、海外への派遣期間が5年を超えない見込みの場合には海外の年金には加入せず日本の年金のみに加入し、派遣期間が5年を超える場合には日本の年金には加入せず海外の年金のみに加入することになりました。

 日本は2000年2月から2019年9月までに23カ国(ドイツ、イギリス、韓国、アメリカ、ベルギー、フランス、カナダ、オーストラリア、オランダ、チェコ、スペイン、アイルランド、ブラジル、スイス、ハンガリー、イタリア、インド、ルクセンブルグ、フィリピン、スロバキア、中国、スウェーデンフィンランド)と社会保障協定を締結しています。

 また、海外での勤務期間が短くても海外での保険料が掛け捨てにならないように、協定により日本と海外の両方の年金への加入期間を通算して最低の加入期間を満たしておれば、それぞれの国の年金への加入期間に応じた年金が、それぞれの国から受けられるようになりました。(ただし、イギリス、韓国、イタリア、中国との社会保障協定にはこの保険期間の通算制度はありません)

 例えば、日本で厚生年金に40年加入し、同時にアメリカでも年金に5年加入していた場合、年金が受給できる最低加入期間は日本は10年(以前は25年でしたが、平成29年に改正され10年になりました)、アメリカも10年ですので、協定の締結前は、日本の年金はもらえるが、アメリカの年金は最低加入期間を満たしていないのでもらえなかったのですが、協定の締結後は通算すれば40年+5年=45年ですからアメリカの年金の最低の加入期間も満たしていることになり、日本では40年分の月額20万円程度、アメリカでも5年分の月額300ドル程度の年金をもらえることになりました。

 社会保障協定の締結前に海外で短期間勤務をしていた人は、海外での年金の最低加入期間を満たしていないので、海外の年金はもらえないだろうとあきらめていた人がたくさんいるようですが、このような人も社会保障協定が締結されたことにより海外の年金をもらえるようになっています。

 また、社会保障協定の締結前は、日本に居住している人が海外年金を請求する場合、直接海外の年金担当窓口に年金の請求をすることが必要でしたが、協定の締結後は協定相手国の年金の申請を日本で行う場合には、日本の年金事務所で海外の年金申請書を提出できるようになりました。

 ただし、日本の年金は請求が遅れても過去5年分は遡って受給できるのですが、海外の年金は受給権が発生したらすぐに請求をしないと、日本の場合とは異なり、遡っては受給されず、請求した月の翌月分からしか受給できない国があるので要注意です。

 社会保障協定の締結されていない国の年金を受給する場合は、自分で直接相手国に年金請求の手続きをしなければならないので、一般的に手続きが煩雑になりますが、社会保障協定が締結されている国の年金を受給する場合は、日本の年金と同様に住所地の年金事務所で請求手続きを行うと、日本年金機構を経由して相手国の機関へ送付されます。

 

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 中国・大連で交通整理をする女性警察官

 

 

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津城の歴史

 私の三重の自宅から2㎞ほど離れたところに、本丸・西の丸の一部と内堀だけしか残っていないのですが、今はお城公園となって整備されている津城跡があります。隣に市役所と図書館があるので、私はそこへ車を止めて時々お城公園内で散歩しています。

 この津城は1573年頃に信長の弟の織田信包が創築して最初の藩主になったのですが、1582年に信長が本能寺で亡くなった後15万石の大名として秀吉に従っていたのですが、1594年に改易されています。

 その後、主君を7度代えたということで有名な藤堂高虎が伊予の今治から移封されて津城の藩主となり、その時に津城は大改修されたようです。

 藤堂高虎は、最初は浅井長政の元で足軽となり、その後長政の旧臣2名の家臣となり、その後津田信澄(信長の弟の織田信行の子)に80石の俸禄で家臣となるのですが実力を認められなかったのでそこを去り、その後秀吉の弟の羽柴秀長に300石で仕え、そこで次々と功績をあげて2万石の大名にまでなります。

 秀長が亡くなった後は秀吉に仕えて功績をあげ7万石の大名となり、秀吉が亡くなった後は徳川家康に仕えて功績をあげ最後には32万石の大大名になります。

 意外と知られていないようですが、織田信包は一時期、母の土田御前や妹のお市の方と3人の娘、茶々、初、江をこの城で引き取り養っていたようです。

 お城公園の近くにある四天王寺に土田御前のお墓があります。

 信長が織田家家督を引き継いだ時、信長の母・土田御前は弟の信行を溺愛していたようで、また多くの家臣も信行を織田家の跡取りにしようと考えていたようで、信行は柴田勝家などを味方につけて信長に対して挙兵し、信長勢700人に対し信行勢1700人と優勢だったのですが、稲生の戦いで自ら先頭に立った信長に対し信行勢は恐れをなしたようで敗れてしまい、信行は窮地に陥ったのですが、その時は母・土田御前の取りなしにより許されています。その時、柴田勝家は頭を丸めて信長に忠誠を誓い許されており、以後は信長の忠実な部下となって活躍しています。

 一度許された信行は、翌年、再度謀反を企てるのですが、今度は勝家に密告され、信長が危篤になったと騙されて清洲城へ見舞いに行った時に信長に暗殺されています。

 信長は、母と信行の妻や子を自分が引き取るよりも、母は弟の信包に、信行の妻と子は柴田勝家に引き取らせた方がいいと思ったようです。後に信行の子の信澄は成人すると大名になり、本能寺の変の時に大阪城にいたのですが、明智光秀の娘を正室にしていたために内通を疑われ、信長の3男の信孝に急襲され殺害されています。

 信長は自分の妹、お市の方を1568年に浅井長政に嫁がせ、浅井家と同盟を結ぶことになります。典型的な政略結婚ですが夫婦仲は極めて良かったようで、長女の茶々、二女の初、三女の江が生まれています。

 ところが、1570年に夫である長政が兄の信長と戦い敗れて小谷城に籠城することになります。

 このような場合、普通ならお市の方は離縁され実家に戻されることになるのですが、お市の方はそのまま小谷城にとどまっており、1573年の落城の時に三姉妹を連れて小谷城を脱出しています。

 その後、信長の弟で、お市の兄にあたる織田信包の元で生活をしていますが、お市の方にしてみれば夫を殺害した信長と一緒に生活したくはなかったのだろうと思われます。

 信長もお市を可哀想だと思ったようで、二度とお市を政略結婚には利用しなかったので、その後約9年間は津城や清州城などで3人の娘と平穏な生活を過ごしていたようです。

 ところが、1582年に信長が本能寺の変で殺され、秀吉が織田家をつぶそうとしていることが明らかになると、お市の方は信長の三男の信孝から柴田勝家と同盟して秀吉に対抗するために柴田勝家と結婚してほしいと言われ、織田家のためにと思い、お市の方はその年に三姉妹を連れて越前の勝家の居城に移っています。

 ところが翌年に勝家は秀吉に敗れ、お市の方は勝家と一緒に自害し、三姉妹は秀吉の保護を受けることになります。

 その後、長女の茶々は秀吉の側室となり、当時数十名も側室がいたのに一人も子供はできなくて、常識で考えても子供ができるはずのない秀吉の子を生み、最初の子は3歳で夭折してしまいますが、秀吉が満56歳の時に次男の秀頼を生んでいます。

 二女の初は京極高次に嫁ぎますが、高次は妻のおかげ(七光り)で5千石から6万石の大名に出世します。

 三女の江は秀吉のはからいで三度目の再婚でしたが(最初の夫とは離縁、二度目の夫とは死別)、6歳年下で初婚だった2代将軍の徳川秀忠に嫁いで3代将軍の家光など2男5女の7人の子供を生んでいます。秀忠はこの時代には珍しくほとんど側室を持っていなかったようです。

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  お城公園の藤堂高虎

 

 

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パワハラについて

○ パワハラとは

パワーハラスメントパワハラ)とは、一般的には、上司が部下に対し、職権などのパワーを背景にして、本来業務の適切な範囲を超えて、継続的に、人格や尊厳を侵害する言動を行い、精神的苦痛を与え、働く環境を悪化させ、あるいは雇用不安を与えることをいいます。

上司に当たる方は、以下のチェックリストで、ご自分のパワハラ度をチェックしてみましょう。

□ たびたび部下を説教している

□ 部下の性格等を攻撃したことがある

□ 部下を怒る時に、周囲の状況を気にしたことはない

□ 問題がおきたとき、部下のせいにしたことがある

□ 相性の合わない部下は、無視したり怒鳴りたくなる

□ 誘っても飲みに来ない部下は嫌いだ

□ 部下に意見を述べられるとむかつく

□ 突然休暇をとる部下がいる

□ 今までに複数の部下が辞めたことがある

□ 部下が精神的な病気になったことがある

□ 自分の意見に反論をする部下はいない

 このチェックリストは、パワハラ的な行為およびパワハラを起こす可能性のある心理状態です。該当すれば、日頃、無意識に部下に対して行っていることが、パワハラになっている可能性があるといえるでしょう。

○ セクハラを中心とする女性へのパワハラ

 セクハラは、一定の男性たちが女性に対して間違った理解を常識に近い感覚で身につけてしまっているという問題があります。

 第1は、「独身の女性たちが会社に来るのは、将来の保護者となるべき伴侶を探しにくるのであって、仕事をしに来ているのではない」と思い込んでいる男性たちです。

 第2は、「女性は家庭を守って子供を育てるのが一番幸せなはず」「女性があんなに働いては亭主がかわいそうだ」などと思っている男性たちです。

 第3は、女性の服装や化粧を男性に対する挑発とみたり、「酒を飲む女性や、男性との付き合いが多い女性はふしだらだ」と思っている男性たちです。

 こうした見方で職場の女性に性的な関心を示してしまう男性たちは、セクハラ事件を起こしてしまいます。「女性はかくあるべき」「女性とはこういうものだ」というジェンダーの呪縛にとらわれた上で「男性と女性は違う」「男性はいいが、女性はダメ」というダブルスタンダードに支えられて事件を起こしてしまいます。このような男性たちの認識が変わらないかぎり、セクハラを中心とする女性へのパワハラ被害はなくならないでしょう。

○ パワハラしやすい上司、パワハラされやすい部下

 パワハラは、一般的には個人の特異な性格や環境が原因となって起こるものです。

・ パワハラを起こしやすい上司

(1)過去に栄光の時期があったが、今は自身を失っている人

  かつては社内で実力が認められ、華々しい時期があったが、今はIT化など時代の流れについていけず、自信を失っている人

(2)学歴などに劣等感をもつ人

  学歴や家庭環境などに恵まれず何となく劣等感をもっている人

(3)職場や家庭に居場所のない人

  社内にも家庭にも居場所がなくなり、「うさ晴らし」のためパワハラに走っている人

・ パワハラされやすい部下

 自立心が弱く、いつも「NO」と言えない、従順で優柔不断な人や、組織の中で孤立している人が多いといわれています。逆にパワハラされにくい部下は、自分のキャリアプランを確立し、しっかりした信念をもっている人に多いといわれています。

○ 会社としての対応策

 これまで、パワハラは個人が起こす個人的な問題だから、会社とは無関係で、個人的に対処すべき問題であると考えられてきました。しかし、パワハラは、放置しておくと、社員の名誉や尊厳を傷つけ、さらなるモラールダウンをもたらし、会社の業績や社会的信用の問題にまで発展しかねないのです。

 最近では、パワハラ労働問題であり、職場における人権侵害の問題であること、また同時に、働きやすい職場環境づくりの問題であることが認識されています。パワハラが訴えられた場合には、労務管理上の問題として取り上げていく姿勢が必要です。

(1)会社としての方針の明確化

  「パワハラとは何か」、「社内にパワハラを起こさない」、「パワハラに対しては厳正な処分をする」などの会社としての基本方針を定め、全社員に徹底するとともに、管理職研修などでも取り上げる。また、就業規則の懲戒の項目にそのことを明記する。

(2)パワハラ相談窓口、処理体制の設置

  問題が発生した場合、迅速かつ適切に問題を処理するためには、まず相談に対応する窓口を設置することが大切です。また、相談窓口での解決が困難な場合や重大な内容と判断される場合を考えて、事実関係を調査・確認し問題の解決に当たる処理体制を充実させておくことも大切です。

(3)パワハラが起きたときの迅速・厳正な対応

  不幸にしてパワハラが起きてしまったときは、その実態と原因の正確な把握と、加害者に対する厳正な処分が必要となります。事件をうやむやに処理してしまったら、被害者の不信と不満を増幅させてしまいます。

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パワハラと労災認定

○ パワハラでのうつ病労災認定へ!

 精神疾患や自殺に関する労災認定の判断基準が見直され、職場でのいじめや嫌がらせ(ハラスメント)によるストレスも、労災認定判断の査定項目に加えられることになりました。

 今後、パワハラによるストレスでうつ病などの精神疾患になった人は、労災と認められる可能性が増えます。

 また、パワハラを苦にして自殺した職員への労災が認められる判決があり、職場のパワハラ・いじめ対策への関心が高まりましたが、ハラスメントの項目が労災認定の判断基準に正式に追加されたことにより、パワハラ・いじめ対策の必要性はますます高まることが予想されます。

○ パワハラって何?

 では、パワハラとはいったいどんな言動なのでしょう。「パワーハラスメント」という言葉を初めて提唱した岡田康子さんは、著書『上司と部下の深いみぞ』(紀伊国屋書店)の中で次のように定義しています。

  1. 職権などのパワーを背景にして
  2. 本来の業務の範疇を超えて
  3. 継続的に
  4. 人格と尊厳を傷つける言動を行い
  5. 就労者の働く環境を悪化させる、あるいは雇用不安を与えること

 また、岡田さんは同書でパワハラを4つのタイプに分類しています。とても分かりやすい分類なので、被害を知るのに参考になります。

1)攻撃型

・他の社員たちの前で怒鳴る

・1人だけ呼び出して怒鳴る

・机や壁などを叩いて脅す

・ねちねちと嫌味を言う

・肉体的暴力を振るう など

2)否定型

・仕事をすべて否定する

・人格を否定する

・能力を低く評価する

・病人扱いをするなど

3)強要型

・自分のやり方を無理やり押し付ける

・責任をなすりつける

サービス残業を強要するなど

4)妨害型

・仕事を与えない

・必要なものや情報を与えない

・辞めさせると脅す

・休ませない など

 一口にパワハラといっても、直接的な暴力や暴言で傷つけるものから、無視したり、仕事を与えないことで精神的な苦痛に追い込むものまで、さまざまな種類があります。一見パワハラには思えなくても、仕事の人間関係の中で、理不尽な苦痛に追い込まれているときには、パワハラの可能性を疑ってみるといいでしょう。

○ パワハラの悩みは1人で抱えない

 人の尊厳を踏みにじるようなひどい言葉をかけられたり無視されたりすると、気の弱い人は「自分は価値のない存在であり、周りに迷惑をかけている」と思わされてしまいます。そして、その思いを誰にも相談できず、1人で悶々と悩み、憂鬱を深めて精神疾患にまで展開させてしまうことがあるのです。

 だからこそ、職場で理不尽な言動を受けて強いストレスを感じたら、周りの信頼できる人に相談することが大事です。社内の相談窓口、労働組合、全国の労働局の総合労働相談コーナー、地域の男女共同参画センターなどが代表的な窓口です。

○ パワハラ加害者になる前に覚えるべき3カ条

 パワハラ的言動は、自分の言動を振り返り、反省できない人に多いものです。ある日突然、「私がこうなったのはあなたのパワハラのせいだ!」と追及されないためにも、以下の3つのポイントを覚えておくことをお勧めします。

1)毒舌は百害あって一利なし

 きつい一言を「また毒舌を言ってるな」と聞き流せる人もいれば、真に受けて自分を責めてしまう人もいるのです。したがって、部下だけでなくどんな相手に対しても、「言葉一つで、相手と自分に一生の傷を負わせることもある」という認識を持って、他人と接するように心がけるべきです。

 「傷つける言葉を発すると快感を感じる」「自分が面と向かって同じようなことを言われるのは許せない」ということに心当たりがあれば、すぐにでも言葉遣いに注意すべきです。

 まずは、「きつい言い回しや、部下を馬鹿にする発言をしない」と決意するだけでも、本格的なパワハラへのエスカレートを防ぐ効果はあります。

2)相手の地位によって、態度が変わりすぎていないか

 自分より立場が上の人には必要以上にへりくだるのに、下の人の前では傍若無人に振る舞うような場合、パワハラ上司になりやすい素地があります。

 たとえば、上司の前では大人しいのに、部下の前では怒鳴ったり一方的に話したりする。上司が側を通ると深々と挨拶するのに、部下からの挨拶は無視する。

 このように、立場によって態度がガラリと変わってしまうのは、「自分にとってメリットのある人以外は、粗雑に扱ってもいい」という思いがあるせいではないでしょうか。このような身勝手さが、パワハラ的言動を生むのです。

他人同士がチームとなって働く以上、立場を超えて人間同士の信頼を高めあう努力をする必要があります。

3)自己満足のために部下を利用していないか

 たとえば、私用のために部下を使いに行かせるようなことがあったり、自己満足のために部下を利用することがありませんか?

 また、気に入っている部下とは雰囲気よく話せるのに、そうでない部下は無視したり仲間外れにしていないか。自分の意見を否定するような発言は認めないとプレッシャーをかけていないか、ということも振り返ってみましょう。

 もし、自己満足のために部下を利用し、その反応によって部下を不公平に扱っていれば、「パワハラ上司」と捉えられる可能性が高いと考えられます。

 部下に何かを求めるときには、少し間をおいて「自分は今、自己満足のために要求しようとしてないか?」と考えることを習慣にしてみましょう。

 

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