三重の法務労務コンサルタント

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離婚時の年金分割について

平成19年4月から離婚時の年金分割制度が施行されています。

「離婚したら、夫の年金の半分がもらえる」と勘違いしている人がいるようですので、制度の概要を簡単に説明します。

 

離婚分割制度

 平成19年4月1日以降に離婚が成立した場合、夫(又は妻)の厚生年金の一部を、妻(又は夫)のものとすることができます。分割の仕組みは次のとおりです。

 

 ① 対象となる年金: 厚生年金の報酬比例部分

 ② 対象期間: 平成19年3月以前の分も含め、結婚から離婚までの婚姻期間

 ③ 分割割合: 2分の1を上限として協議により決める

 ④ 条件: 夫婦の合意、又は家庭裁判所の決定が必要

 ① 分割の対象となるのは、厚生年金の内の報酬比例部分だけで、定額部分(基礎年金)は対象外です。

 ② 分割される年金は婚姻期間分だけです。

例えば、夫が20歳で厚生年金に加入し30歳で結婚、60歳で定年退職し、その後、定年を機に熟年離婚をした場合、分割の対象期間は、結婚後の30年分で、独身時代の10年分は分割の対象にはなりません。

又、夫が65歳で妻が55歳の場合、夫が65歳からもらえる年金を分割されたので、妻はすぐに年金をもらえると思いがちですが、そうではありません。妻は自分自身の年金を受け取れる年齢になるまで、分割された年金はもらえません。もし、妻が年金に必要な10年の加入期間がないなど、自分自身に年金の受給権がなかったら、いつまでたっても分割された年金はもらえません。減額された夫の年金はどちらにも支給されない(国に没収)ことになってしまいます。

 ③ 分割割合は2分の1ではなく、2分の1以内で合意した割合です。

   婚姻期間中に妻も厚生年金に加入していた期間がある場合には、妻自身にも厚生年金の報酬比例部分がありますので、分割される年金は夫の報酬比例部分との差額の2分の1以内となります。妻の方が収入が多ければ、逆に夫に分割しなければならない可能性もあります。

 

 離婚をしても、現実に分割される年金は期待するほど多くはないようです。

 例えば上記②の例で、夫自身の年金は定額部分(基礎年金)が6.5万円、報酬比例部分が11.5万円で合計18万円、妻はずっと専業主婦で基礎年金が5万円だとした場合に、分割されるのは夫の報酬比例部分である40年分の11.5万円の内30年分で、かつ、その内の2分の1以内ですので、最大の2分の1の分割を受けても4万円程度(11.5万円×3/4÷2≒4万円)で、結果、夫の年金は4万円減額されて14万円、妻の年金は4万円加算されて9万円というような計算になります。

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