三重の法務労務コンサルタント

仕事(人事労務、海外人事、税務、法務など)で学んだことや、趣味(歴史や旅行など)で感じたことなどを記載します

マイナス金利

 通常は、銀行にお金を預けたら利息が付きます。

 仮に預金の利息が年利6%とすれば、銀行に100万円の預金をすれば1年後に6万円の利息が付きます。

 私は中学生の頃から毎朝新聞を読むようになり経済欄にも目を通していたので、当時のサラリーマンの大卒の初任給は1万円ぐらい、定年前の管理職の給料は5万円ぐらい、定年退職時の退職金は200万円ぐらい、銀行預金の利息は定期預金が年利6%ぐらいで普通預金は年利1%ぐらいだったと思います。

 当時のサラリーマンは、退職金の200万円を年利6%で預金しておけば1年間の利息は12万円、1か月当たり1万円ですから、老後は年金とは別に、利息だけで初任給並みの収入は得られたのだろうと思います。

 その後、経済の成長やインフレの影響などでサラリーマンの給料は大きく変わりましたが、銀行預金の利息はあまり変わらなかったように思います。

 ところが平成になりバブルがはじけてからの約30年間に預金の利息はどんどん下がって来ており、特に最近の10年間ほどはゼロ金利と言われるように利息は1%を下回って、今では0.1%とか0.01%とかになってしまいました。

 現在のサラリーマンの大卒の初任給は20万円ぐらい、定年前の管理職の給料は50万円ぐらい、定年退職時の退職金は2000万円ぐらいになっているようです。

 現在のサラリーマンは、退職金の2000万円を年利0.1%で預金しても1年間の利息は2万円ですから、利息は1月分の小遣いにもならないようですね。

 ところが不思議なことに、法定利息(当事者が利息を決めていない場合に適用される利息)は民法では年5%、商法では年6%となっており2020年までの間全然変わりませんでした。

 2020年4月の改正により、市場金利とかけ離れていた法定利息が変更され、現在は民法の法定利息は年3%となり、商法の法定利息は廃止されたので民法の法定利息に統一されています。

 

 2016年2月から日本銀行は「マイナス金利」という、預金をすれば逆に利息(手数料)を支払わなければならないという異常な金利政策を導入しました。

 都市銀行地方銀行は顧客から預かった預金をすべて企業や住宅ローンなどに融資したり国債を購入するなどして運用しているわけではなく、一部を日銀に預け金利を得ています。その金利は通常時は2%前後でしたが、ここ数年下がり続け、0.1%とゼロ金利近くまで下げっていましたが、それでも1000億円預ければ1億円の利息収入がありました。

 ところが「マイナス金利」の導入で、民間銀行は預けた金額の0.1%分を逆に日銀に対して支払わねばならなくなったというわけです。

 政府・日銀の狙いは、民間銀行に自分のところに預金などせずに企業や個人客にどんどん貸し出しなさい、融資を受けた企業は設備投資をしなさい、個人は融資を受けてマンションや住宅を購入しなさい、資産のある個人はゼロ金利の預金などせず消費をふやしなさいというようなことでしょうね。

 しかし、少子高齢化で国内市場が縮小している現状で国内で投資を増やそうする企業は余りないでしょうし、金利が低いから散財しようという国民も余りいないでしょうから、政府・日銀が描くようなマイナス金利の効果がでるとは思えませんね。

 さらに、住宅を購入できるのも雇用や収入の安定している正社員だけで、最近、割合が大きく増加している雇用が不安定で低収入の非正規社員などにはマイナス金利の恩恵があるようには思えませんね。

 

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