遺族年金とは、国民年金や厚生年金、共済組合などに加入していた人が死亡したときに、その人によって生計を維持されていた所定の遺族に支給される年金のことです。
遺族年金には、国民年金から支給される制度共通の遺族基礎年金のほかに、厚生年金保険の遺族厚生年金と共済組合などの遺族共済年金があります。
遺族基礎年金とは、国民年金に加入していた人が死亡した場合に、その死亡した人によって生計を維持されていた「18歳未満の子のいる配偶者」または「18歳未満の子」に支給される年金です。
遺族基礎年金の年金額(年間)
1.子のある配偶者が受け取るとき
780,900円+子の加算額
2.子が受け取るとき(次の金額を子の数で割った額が、1人あたりの額となります。)
780,900円+2人目以降の子の加算額
(子のある配偶者が遺族基礎年金を受け取っている間や、子と生計を同じくする父または母がいる間は、子には遺族基礎年金は支給されません。)
子の加算額
1人目および2人目の子の加算額 各224,700円
3人目以降の子の加算額 各74,900円
厚生年金に加入していた人が死亡した場合に、その死亡した人によって生計を維持されていた遺族に遺族基礎年金と遺族厚生年金という年金が支給されます。
遺族基礎年金が支給される遺族の範囲と年金額は国民年金の遺族基礎年金と同じです。
遺族厚生年金が支給される遺族の範囲は、妻、18歳未満の子、死亡当時55歳以上の(夫、父母、祖父母)、18歳未満の孫となっており、最も優先順位の高い人が受け取ることができます。
遺族の優先順位は、子のある妻、子のある夫、子、子のない妻、子のない夫、父母、孫、祖父母となっています。
遺族厚生年金の年金額は一律ではなく、死亡した厚生年金加入者の標準報酬や被保険者期間によって異なります。
なお、夫が死亡したときに40歳以上65歳未満の子のない妻、または子が18歳に達し遺族基礎年金を受給できなくなった妻が遺族厚生年金を受ける場合には、40歳から65歳まで年額585,700円が加算されます。
遺族共済年金の仕組みは、遺族厚生年金とほぼ同じです。
なお、死亡した人が多額の借金などをしていて、その借金などを相続したくないため相続放棄をする場合に、遺族年金も支給されなくなると勘違いしている人がいますが、遺族年金は遺族に支払われるものですから相続財産ではありません。
相続放棄をしても遺族年金を受け取ることができますし、遺族年金を受け取っても相続放棄をすることができます。