三重の法務労務コンサルタント

仕事(人事労務、海外人事、税務、法務など)で学んだことや、趣味(歴史や旅行など)で感じたことなどを記載します

海外の医療保険

 日本の健康保険は、外国の病院において療養を受けたときも療養費が支給されるようになっています。ただし、海外では日本のように健康保険証を提示して療養の給付を受けることはできないため、医療費の全額を本人が支払った後、療養を受けた病院で「診療内容証明書」と「領収明細書」をもらい、これに日本語の翻訳文を付けて日本国内で保険者(社会保険事務所等)に請求することになります。払い戻される金額は、日本国内で保険診療を受けたとして計算した金額から自己負担分を差し引いた額が上限となりますので、海外で支払った費用の7割が払い戻されるとは限りません。

 また、日本の健康保険で療養費の請求をする手続きが煩雑なため、現実には日本での健康保険による海外療養費の請求は余り利用されていないようです。

 そこで、日本から海外へ行く場合、多くの人が海外旅行保険に加入しています。

 海外旅行保険の場合、保険会社が契約を結んでいる病院であれば、現金不要で療養を受けることができ、費用は保険金額の限度額で全額を保険会社が負担してくれます。ただし、持病、妊娠・出産費用、歯科治療は保険の対象外となります。

 海外では、日本のように国民皆保険の国は少数ですが、公的な医療保険があり日本人も加入できる場合には、長期の滞在者は現地の公的な医療保険に加入する場合もあります。公的な医療保険に加入せずに、現地の民間の保険会社と医療保険の契約を結ぶこともあります。

 

・ アメリカには日本のような公的な健康保険制度にあたるものがなく、例外的に高齢者・障害者用のメディケア制度と生活保護のメディケイド制度があるだけです。一般の人は、民間の保険会社が提供している医療保険に加入します。医療保険は商品ですから、保障内容や保険料は様々です。医療保険に加入できていない国民が多数存在しています。

・ カナダはアメリカの隣国ですが、公的な医療保険ですべての医療費をカバーしています。医療費は一般財源(税金)でまかなわれています。

・ イギリスは国が国民の健康維持を無償で補償しているので、保険がなくても問題ありません。イギリスにはホームドクター制度があり、自分のドクターの診断に満足できず、他のドクターにかかると費用は全額負担となります。

・ ドイツとフランスの健康保険制度は日本とよく似ており、資金は加入者からの保険料でまかなわれており、診療費の大部分は健康保険から支払われますが、一部自己負担金もあります。

・ 中国における医療保険制度は地域や職業により、公務員医療補助制度、都市戸籍者用医療保険農村戸籍者用医療保険と3つに分かれています。公務員医療補助制度は医療費の70~100%を国が補償して最も内容が充実しています。都市戸籍者用の医療保険は事業主から総賃金の6%、従業員から2%拠出された資金によって基金を設立し、その基金から診療費の一部又は全部が支払われます。農村戸籍者用の医療保険はカバーされる医療の範囲が狭く、自己負担の割合も高い、保険料を払えないので加入できない住民が多いというような問題があります。

・ オーストラリアの医療保険はメディケアというもので、永住権もしくは市民権を持っている人は全員加入します。財源は税金でまかなわれており、ほとんどの一般的な医療を無料で受けることができます。

 

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