三重の法務労務コンサルタント

仕事(人事労務、海外人事、税務、法務など)で学んだことや、趣味(歴史や旅行など)で感じたことなどを記載します

養子縁組について

 最近、知人から養子縁組についての相談が2件ありました。

 1件は、数年前に離婚して中学生の子供を育てている女性ですが、今回、再婚をすることになったようで、再婚相手の男性と自分の子供との戸籍に関する相談です。

 離婚後、子供は自分が引き取り一緒に住んで育てているのですが、子供の戸籍は前の夫の戸籍に残っており、子供の名前(氏)は離婚前のままで、子供は親の離婚後も氏を変えずに以前の名前を使うことを希望していたようです。女性は、再婚の相手として自分の子供を可愛がってくれる男性を希望していましたので、再婚後は子供も新しい夫と一緒に住むことになるようです。

 基本的なことですが、離婚によって戸籍に変動があるのは、夫婦のうち戸籍の筆頭者ではない方だけで、その子供の戸籍に変動はありません。

 たとえば、夫が筆頭者の場合、離婚届によって戸籍が動くのは妻1人だけです。その場合、妻は新しい戸籍をつくるか、結婚する前の戸籍(実家の戸籍)に戻るか、好きな方を選べます。そして、旧姓に戻ります。ただし、離婚後に子供を自分の戸籍に入れる場合は、実家の戸籍に戻ることはできません。

 婚姻の前の姓に戻るのが嫌な場合は、離婚届と同時に又は離婚後3ヶ月以内に「離婚の際に称していた氏を称する届」を市区町村役場に届け出て、婚姻時の姓を継続することができます。

 夫婦に20歳未満の子供がいる場合、離婚する時は父母のどちらかが、その子供の親権者になるのですが、それによって子供の戸籍が自動的に変動するということはありません。夫が筆頭者の場合、離婚届によって戸籍が動くのは、妻だけです。妻が親権者になっても子供とは別な戸籍になってしまうのです。父親の戸籍にいる子供を母親の戸籍に移したいという場合には、「入籍届」という届出が必要です。

 後に母が再婚して夫となる人の戸籍に入る場合でも、そのままでは子供の戸籍は前の夫の戸籍か母の古い戸籍に残ったままになります。再婚した夫が妻の子供と同居して現実に扶養していても再婚相手と妻の子供との間には法的な親子関係は成立していませんので、子供は夫の法定相続人にもなれません。

 この場合、子供も再婚相手の戸籍に入れ、再婚相手と親子関係を成立させる方法として、養子縁組があります。養子縁組届を役所へ出すことによって、再婚相手と子供との間に親子関係が成立します。また子供は再婚相手の法定相続人になることができます。同時に、子供は実父母の法定相続人ともなっています。

 未成年者を養子とするには家庭裁判所の許可が必要ですが、配偶者の子を養子とする場合には家庭裁判諸所の許可は不要です。

 

 もう1件は、最近結婚をした娘さんの夫を自分の養子にしたいという相談です。

 成年者を養子とする場合には、家庭裁判所の許可は不要で、養子縁組届を役所へ出すことによって、養子縁組をすることができます。

 養子縁組をすると、養子の氏は養親の氏に変更になるという決まりがあります。夫が妻の親の養子となる場合、結婚をしたときに妻の氏を名乗っていたときには氏の変更はありませんが、妻が改姓をして夫の氏を名乗っていたときには、夫婦2人とも妻の親の氏(妻の旧姓)に変わることになります。

 養子縁組により、妻の夫は、妻の親の法定相続人となることができます。

 また、法定相続人が1人増えることにより、相続税基礎控除額が600万円増えることになり、全員の相続税を軽減することができます。

 

 相談の事例とは関係ないのですが、結婚をして夫の親と同居して面倒を見ていたが、夫が親よりも先に亡くなり、妻はそのまま最後まで夫の親の世話をすることがあります。この場合、夫の親が亡くなった時に最後まで世話をした妻には法定の相続権はありません。ところが、親と同居していなかった夫の兄弟は親の世話をしていなくても実子なので法定相続権があるので、妻が今まで夫や親と一緒に住んでいた家も夫の兄弟が相続することになってしまいます。

 このような場合にも、長男の妻を養子にしておけば、妻にも夫や他の兄弟と同様に法定相続権があることになります。

 ただし、妻と夫との間に子供がいれば、死亡した夫に変わってその子供には夫の兄弟と同様に法定相続権があります。

 

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