三重の法務労務コンサルタント

仕事(人事労務、海外人事、税務、法務など)で学んだことや、趣味(歴史や旅行など)で感じたことなどを記載します

税務調査

 3年ほど前に、香川県の観音寺第一高等学校の全学年の卒業生を対象にした京阪神地区同窓会の役員会というのがあって行って来ました。私は、初めてそこの役員になったのですが、同じ卒業年度の人が2人いて、同じテーブルで話をしたのですが、2人とも税務署を定年で辞められて今は税理士をされている人で、私も以前は会社で税務の仕事をしたことがあったので、自然と税務調査の話も出ました。

 そんなこともあって、何となく昔経験をした税務調査のことも思い出したのですが、私が初めて税務調査を経験したのは、入社10年目ぐらいの時で、まだ30歳代前半の頃で、出向先の子会社(正確には孫会社)で経理の仕事を初めてからまだ1年程しか経っていない時でした。

 その会社は、本社創業後2代目の社長が新規事業として立ち上げようとして5年ほど前に設立していた従業員が50人ほどの小さな会社で、大げさに言えば電気自動車を作る会社、正確に言えば工場の敷地内用で使用するバッテリー式の運搬車やフォークリフトを作る会社でしたが、まだ軌道に乗っておらず、赤字会社で銀行もあまり貸し付けをしてくれないので、社長が個人で2億円ほどその会社へ貸し付けをしていました。

 社長が亡くなった時に、本社ではその会社を廃止しようという意見も出たようですが、社長が思いを入れてきた会社だから存続させるということになったようで、その代り、社長が個人でその会社に貸し付けていた資金は全額放棄してもらうことになったようでした。

 その時の税務調査は、調査官は一人で、社長の相続税対策として相続財産を減らすために意図的に貸付金を免除したのではないかと疑われたようでしたが、私はそのような複雑な状況は何も知らなかったので単純に会社を継続するためには資産の整理が必要で、そのためには社長の貸付金を放棄してもらう必要があったというような話をしたら、税務署の調査官も納得されたようでした。

 その後、10年間ほどは子会社などで総務や経理の仕事をしたのですが、その間に社会保険事務所や監督署などの調査はあったのですが、税務調査はありませんでした。

 入社20年目ぐらいに本社に戻り、その後は定年になるまでの約20年間ほど、人事部という部署や法務室という部署で管理職として仕事をすることになり、源泉徴収などの所得税に関する仕事もしてきたのですが、本社ではきちんと2年に1回は大阪国税局の法人税の調査、3年に1回は北税務署の所得税の調査がありました。

 国税局の調査は調査官は5名程度で調査期間は2~3週間程度、税務署の調査は調査官は2名で調査期間は3日間程度で、各回ごとに調査官は変わっており、私は税務署の調査に立ち会っていました。

 税務署の調査官はみなさん一律ではなく結構個性があり、目の付け所も一律ではなくて、しょうもないどうでもいいような細かいこと(例えば、税務署では外出時の食事代は500円しか請求できないが、この会社は1000円支給しているが、そんなに必要か、領収書は取っているのかなど)にしつこくこだわるような調査官もいました。バブルのころに会社が天満の帝国ホテルの横にある中古マンションの一室を一億五千万円で購入し保養所として利用できるよう改修するために使用していなかった物件について、長期間使用していないのはおかしい、社長が妾を住まわせているのではないかと疑って部屋の中を確認させてほしいといった調査官もいましたが、室内を見ても人が住んでいる気配はありませんでした。

 また、調査官の言うことは税法上常に正しいというわけでもなく、結構間違ったことも言っており、明らかに間違えて会社に不利なことを言っている場合には間違いを指摘して訂正してもらいました。こちらが間違えていると認めた場合には調査官の指摘を認めて是正しました。お互いにどちらが正しいのか納得できない場合には、保留して、問題を持ち越す場合もありました。こちらが間違いを認めていないのに、税務署が一方的に是正勧告を出すというようことはありませんでした。

 15年ほど前に、会社勤務で最後の税務調査となった時に、海外の子会社へ赴任していた従業員が50名ほどいたのですが、彼らの国内給与(留守宅手当と賞与)について、税務署から彼らは海外の会社に勤務しているのだから海外の会社が全額給与を払うべきで、国内の本社が給与の一部を支払うのは認められないと言われたので、それは海外赴任者に対する日本の人事制度や海外の労務管理の実情を知らないから言えることであって、実情は海外では赴任者の給与を全額支払えないさまざまな理由があることを説明して、その問題は何となく納得して保留にしてもらったのですが、3年後の税務調査(私が退職した後)でまた別の調査官から同じ問題を指摘されたそうで、会社は簡単に税務署の指摘を認め、海外赴任者の過去3年間の給与に関して、海外の子会社に対する贈与だとみなされて、数千万円の税金を税務署の指示により支払ったそうです。

 

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   大阪城

 

 

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