日本の合計特殊出生率は、1950年頃には4.2位だったようですが、その後次第に低下して1975年頃には2を割り込み、現在は1.3位になっています。
現在の世界全体の出生率の平均値は2.5位ですが、これを地域別に見ると先進地域の平均値は1.5位、発展途上地域の平均値は3.0位、後進地域の平均値は5.0位になっています。
これらを見ると、国が経済的に豊になるほど出生率が低下する傾向にあるようですが、出生率が2(正確には2.08)より低くなると人口が減少するので、先進地域ではどこも、国の政策として少子化対策を行っているようです。
日本では少子化対策として、1)不妊治療費助成、2)妊婦検診の公費負担、3)出産育児一時金、4)出産手当金、5)育児休業、6)育児休業給付、7)児童手当の支給などが行われていますが、出生率の減少に歯止めがかからないようです。
ドイツでも現在出生率が1.3位にまで低下しており、児童手当として親の所得制限はなしで18歳未満の子ども一人につき月額約2万6千円の児童手当を支給していますが効果がでないため、更に「2人目の子どもからの児童手当の増額」や「保育所の増設」などについて検討しているようです。
フランスも1993年頃に出生率は1.6位になっていましたが、その後の少子化対策の結果、現在では1.9を超える水準にまで回復したようです。
フランスでは少子化対策として次のような政策が行われているようです。
1)妊娠・出産、不妊治療の保険適用
2)乳幼児手当・・・3歳までの子ども1人につき月額約2万3千円、(ただし所得制限あり)
3)家族手当・・・子ども1人=0、子ども2人=月額約1万6千円、以降1人増すごとに月額
約2万1千円追加、所得制限はなしで、20歳まで支給
4)家族手当補足・・・子ども3人以上の場合、1人ごとに月額約1万5千円追加
5)片親手当・・・子ども1人で月額約7万6千円、1人増えるごとに月額約1万9千円追加
6)新学期手当・・・子ども1人につき年約2万9千円
7)出産休暇中所得の84%保証
フランスでは保育施設も十分にあり、保育料は1ヶ月14万円位かかるようですが、国庫補助があるため、個人負担は3万5千円ほどになるようです。
フランスやスウェーデンなどに比べて、日本やドイツでは子育ては女性の役割という意識が強いため、仕事を重視する女性は結婚を遅らせようとするために晩婚化が進んで出産適齢期(20歳代位)に出産できず高齢出産に伴うリスクも高まり、また女性の負担が過重となるために子どもが2人以上ほしいと思っても実際には1人しか生めないという結果になっている場合も多いようです。
少子化対策が効果を上げるためには、国のハード面での対策だけでは不十分で、社会でも家庭でも、男性と女性が対等に協力・分担するという、男女の役割についての意識改革も必要なようです。