三重の法務労務コンサルタント

仕事(人事労務、海外人事、税務、法務など)で学んだことや、趣味(歴史や旅行など)で感じたことなどを記載します

フランスの結婚事情

フランスも、日本と同じように晩婚化が進み、結婚数は減少して離婚数が増加しているようですが、出生率に関しては、日本が約1.3人まで減少しているのに対し、フランスは逆に約1.9人まで増加して、ヨーロッパの中でも出生率の高い国になっています。

フランスで出生率が増加している原因としては、出産手当・家族手当・片親手当等々多額の金銭補助があること、幼稚園から大学までほとんど学費が無償か超低額で、かつ、ほぼ全員が自宅から通えるので下宿代もいらないこと、保育所やベビーシッター制度が充実しており育児と仕事を両立しやすい環境が整っていること、税制面での優遇があることなど、おもに政府の福祉政策の充実にあるようですが、それだけではなく、結婚や家庭に関する最近の若者や社会の意識の変化にも原因があるようです。

フランスでは、現在、結婚数は減少していますが、結婚という法的な手続きをとっていない事実婚カップルが増えています。

フランスでは、本来は国民の約70%がカトリック信者なので、「結婚は一度きりで離婚は認めない」というキリスト教(中でも特に厳格なカトリック派)の倫理の影響もあって、自由な恋愛や離婚は認められていなかったようですが、最近では「結婚は一生に一度きりである」という考えよりも、愛も性も本来自由なものであり、愛が冷めれば別れるのは当然なことで、長い人生をただ一人の人と連れ添っていけるとも思えないというような考えに変わってきているようです。

フランスの多くの男女は「女性は、美しく、賢く、仕事に生きがいを持ち、よき母、よき妻、セクシーな愛人、理解ある友でもなければならない。男性は、仕事に燃え、育児に積極的に参加し、週末は料理に腕をふるい、たまには妻をレストランに連れ出し、時には花を持って帰ってきたりしなければならない。」と理想的?に考えすぎて、なかなか結婚に踏み切れなくなっているようです。

「本当にこの人と結婚してうまくいくのか、いくら考えてもわかるはずがないから、まず、一緒に暮らしてみる」という発想から、共同生活が始まるようです。それがうまくいけば出産、それをきっかけに結婚という運びになり、現在では、共同生活をせずに結婚する夫婦の割合は4割程度しかいないそうです。

現在のフランスにおける新生児の約60%は法的に結婚していないカップルの子どもになります。

また、フランスでは、現在、夫婦の3組に1組以上(パリでは2組に1組以上)が離婚しています。

日本では離婚をすると、父親か母親のどちらか一方、普通は子どもと一緒に住む方の親が親権を行使しますが、フランスでは離婚をしても、原則として両方の親が親権を行使します。夫婦関係は終了しても親子関係は終了せず、どちらの親が再婚しても親子関係は維持され、子どもは本当の父親と母親の家庭を行き来して生活するので、子どもにとっての家族は両方の親の家族を取り込んだものになります。夫婦関係は壊れても親子関係は壊さないというものです。こうした家族を複合家族というそうです。

 

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