三重の法務労務コンサルタント

仕事(人事労務、海外人事、税務、法務など)で学んだことや、趣味(歴史や旅行など)で感じたことなどを記載します

業務命令による違法行為

○ 「上司から、『会社のためだ』と法律に違反する行為を命じられて、仕方なく従いましたが、その後、その違法行為が表ざたになって、上司とともに会社から解雇を言い渡されました。」という事例で、違法な行為とはいえ業務命令なのに、会社が社員をクビにするのは不公平でしょうか?

  法律の世界では、不公平どころか当然の結論と考えます。その根本的な理由は、会社の所有者である株主が、法律を守って健全に活動することを取締役に委任していることにあります。ですから、会社自身が違法な活動をすることは想定されず、不正な業務指示は本来の任務を逸脱した個人の行動と考えるわけです。そして、会社(代表取締役)は、違法行為をした役員や従業員を懲戒処分して秩序を回復し、さらに違法な行為で会社に損害を与えた役員や従業員に損害を賠償させる責任があります。したがって、違法な活動に関わった役員が解任されたり、また従業員が懲戒解雇されたりするのは、法律の世界ではきわめて当然の処置といえます。

  懲戒解雇となれば退職金も出ませんし、さらに損害賠償の責任までかぶることになります。なお、昔と違って「会社が後で骨を拾ってくれる」ということもありませんし、そんなことをすれば、経営者もコンプライアンスに対する責任を問われてしまいます。

業務命令といえども、善悪を判断できる大人なのだから、違法な行為は断ることができるはずだというのが法律の基本的な考え方です。たとえ業務命令でも間違ったことは断らないと、個人としての責任を免れないということになります。

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